1.はじめに
問題解決への取り組みには、基本の手順があります。この手順を省略したり、順番を違えると正しい
解決は出来ません。

問題を起こした原因の分析を行わずに、先入観や過去の事例のみで判断してしまったら、間違った対策 をとってしまうことになります。その結果、問題は解決されずに依然として同じ問題が起こってきます。 早く解決をしたいがために手順を省略したことが、逆に解決まで何倍もの時間が取られてしまうことに なるのです。
■手順を踏まない例■
- 蛍光灯スタンドが点灯しない。
- 蛍光灯が切れたと思い交換した。
- 蛍光灯は点灯しなかった。
- 調べなおしてみたらコンセントが外れていること判明した。
次の図は基本の手順と比較したものです。
上例は単純なものですが、複雑で費用や時間が費やされる問題において、こうした失敗をしてしまうことは 大変な損失を生むことになります。重要な問題ほど基本手順を踏むことが求められます。
2.基本ステップ
基本手順の流れとポイントを次に示します。

| (順) | (手順) | (ポイント) |
| 1 | 問題の認識 | 問題であると認識すること。解決すべきテーマであると捉え、解決目標を決める。 |
| 2 | 調査・分析 | どのような問題であるのか。問題の原因は何かの追求。また解決目標との間にある諸課題を探り出し、関係づけする。 |
| 3 | 解決策立案 | 問題解決の手順の中で、最も発想力の求められるところ。新しい発想を引き出す。 |
| 4 | 解決策実施 | 実行計画を立てる。確実に実施する。 |
| 5 | 結果の評価 | 期待した結果と比較しての評価。解決しなかった場合の分析と新たな対策。 |
またこれらの手順は一度行えば終わりと考えるのではなく、繰り返して行くことも必要に なりま す。原因分析をしている中で、新たな調査すべき事項が現れてくることもあります。こうした場合には、前工程 である現状調査を追加して行い、そしてもう一度現状分析をすることになります。
3.第1ステップ 問題の認識
問題認識は問題解決の入り口です。当然のことですが、問題の認識がなければ問題解決にはつながりませ ん。また問題の認識とは、問題の存在を「知る(発見)」ということに加えて、問題を「定義」するこ とまでを含みます。
■問題の発見■
目の前にある問題は誰もが問題を認識するでしょう。しかし、問題は既に発生していることばかりではありません。
発見パターンは3つに分けられます
【発生している問題】
これは通常の状態が失われて、異常が発生してくる状態です。「水道栓が壊れて水が溢れ出した」などのように問題が目に
見えて表れます。
【いずれ発生する問題】
いまは未だ表れていないが、いずれ表れるであろう問題。上の例では、水道栓に錆が出ているなどの兆候がある場合。点検
などの意識をすれば見つかるが、怠れば発見できない(問題とならない)ような問題です。
【設定型問題】
現状にムダやムリがあるが、問題と思っていない状態、工夫や改善すれば新しい方法の可能性に取り組もうとする課題です。これら
は解決者が高い意識の上で、現状を問題として捉える事なので、設定型となります。

■問題の定義■
問題が見つかったら、問題を定義してゆきます。問題の定義とは、「何が」「どのように」問題なのかを明確にし、解決目標を決定することです。次に
「緊急性はどうか」および「重要性はどうか」についても判断をします。これらを踏まえた上で問題内容を「テーマ」として設定します。これらをあい
まいな認識で進めてゆくことは以降の工程に失敗要因を残してゆくことになります。

- (ポイント)
- 目に見えている(発生している)ことだけが問題ではない。
- 「何が」「どのように」問題なのかを明確にする。「問題の明確化」
- 重要性はどうか。緊急性はどうか。についても判断をする。
- 問題内容をテーマとして設定する。
4.第2ステップ 調査・分析
ここの調査・分析をしっかり出来るかどうかで、解決への道程は変わってきます。また多くの問題は調査
・分析をすることで、自動的な解決につながります。
調査は「現状調査」「原因調査」「問題分析」の3種類に分けられます。これは調査対象範囲の区分で
あると同時に進める順序上の区分にもなり ます。
■現状調査■
問題の現状を調べることです。現れていることの事実と情報を詳細に収集します。そして出来るだけ多くの関連データも集めることが望まれます。 現状調査は特別な知識がなくとも、進めてゆける段階です。
■原因調査■
現状調査結果を基に原因分析を行います。問題には「必ず原因があるはずだ」という視点に立ち、原因を探ってゆきます。また探し出した原因には、 さらなる原因があるかもしれません。こうして真の原因を探してゆきます。また、同じ問題が過去の事例にないかを調べることも有効です。
■問題分析■
原因が明確にならない問題や、複雑に原因が絡んだ問題、簡単に解決できない原因のある問題については、問題分析を行ってゆきます。関係する様々
な要素を見つけ出し、問題を整理体系化してゆきます。この分析方法にロジックツリーを利用します。ロジックツリーでは縦の要因(原因のさらな
る原因)と横の要因(区分の異なる原因)を組み合わせて図解化してゆきます。縦の要因分析では、掘り下げられるところまで進めます。「商品売上
の減少」という問題を例にすると、売上の要因として@商品A販売B価格C販路の4つが考えられます。この4つの内容を調査比較することで真の原因
を見つけることが出来ます。

■その他■
また調査には計画化も必要です。前項の問題の定義に基づく調査計画を作成することで、効率的な調査が行えます。そして調査計画で挙げられた項目 を着実に実施できるよう「誰が」「どのように」「いつまでに」まで盛り込んだ調査計画書にします。事実の把握という点において、ややもすると 観測した事実そのものではなく、推測した判断(推察)を事実と混同することがあるので注意が必要です。この誤りを防ぐために。事実と推察は項目 を分けます。
- (ポイント)
- ロジックツリーを使う
- 過去の事例を参照する
- 「原因」と「結果」の関係を外さない
5.第3ステップ 解決策立案
解決には@現状への復帰 A新しいモデルの構築 という二つの目標があります。「現状への復帰」は調 査・分析の工程を経過することで、解決の道筋 は見えてくるでしょう。「新しいモデルの構築」は問題 解決の手順の中で、最も発想力の求められるところです。問題の状態と解決目標の間に横たわる溝を、 どのように超えるのか?まだ誰も通過していない沼地に道を探る世界です。解決策の立案に必要な能力 としては「コミュニケーション力」「ツールの知識と活用力」「斬新な発想力」「過去の豊富な事例の 参照力」等があげられます。これらの要素を組み合わせて根本的な解決策を立てます。
6.第4ステップ 解決策実施
立てられた解決策を実施するための計画を立て、計画に添って着実に進めます。そして実施プロセスの 記録も残してゆきます。こうした計画と記録は実施策の効果を把握するうえでも 大切なものです。
7.第5ステップ 結果の評価
実施した結果を計画と比較して評価します。評価が不十分であれば、新たな対策をとらねばなりません。問題が解決していれば、この評価が今後 の同様な問題発生にも利用できることになります。
(この項終わり)

